ハッカースペースにある産業用ロボットのMotoMiniですが、アラームが出て動かくなってしまったので修理したお話です。

現象
アラームは電源を入れると出てくる以下のものでした。アラーム4312「エンコーダーバッテリー異常」がメインのアラームで、4311「エンコーダーバックアップ異常」と4107「アブソリュートデータ許容範囲異常」はこれに付随するアラームでしょうか。

画面下のメッセージでは、「エンコーダーバッテリが消耗しています」と出ています。ロボットには回転位置センサーとしてロータリーエンコーダーが内蔵されていますが、このセンサーデータをバックアップしておくユニットのバッテリーが産業用ロボットには内蔵されていたんだと思いました。
分解
そこで早速MotoMiniを裏返してフタを開けてみました。なにやら線が色々入っています。サーボモーター用の配線でしょう。

よく見ると電池のようなものが見えます。

底面ではなく背面のフタを開けてバッテリーを取り出しました。

結束バンドをほどくと、差込型ピン端子で接続されているのが確認できました。並列に2つつなげるようになっているのは、消耗前にバッテリーを交換する際、エンコーダーのデータが飛ばないようにするためでしょう。


ビニールテープをほどくとダイオードと抵抗が見えました。

部品の特定と交換用部品の選定
バッテリーはこちらの3.6Vのものだと特定できましたが、かなり値段が高いですね。

秋月に似たようなバッテリーがあったので、こちらを2本使うことにしました。

AAサイズ形 バックアップリチウム電池 3.6V
抵抗は黄紫黒金で47Ωと読み取れたので、手持ちの1/4Wのものを使用することにしました。ちなみにもともとのユニットに上記のバッテリーをつないてバックアップ時の消費電流を測ると、107μAでした。

ダイオードは見たことのないタイプでしたが、ERB84-009という型番の富士電機製ショットキーバリアダイオードと特定できました。(公式データシート)

もう製造されていないので、秋月で近しいダイオードを選定しました。
差し込み型ピン端子は千石に実際のユニットを持参し、合う形のELPAのものを買ってきました。

交換用バッテリーユニットの作成
左が作成したユニット、右がもともとのユニットです。

次のバッテリーあがりの際、すぐ復帰できるように電池ボックスに電池をはめる構成にしました。電池ボックスは両面テープで固定しています。

ダイオードと抵抗の部分はオリジナルのものと同じようにはんだ付けして熱圧縮チューブで覆いました。

端子部分は圧着工具で加工しました。

完成したユニットをロボット本体に接続します。

動作チェック
電源を投入して起動が完了すると、アラーム4312「エンコーダーバッテリー異常」が消えていました。

プレイバックで動かそうとすると「原点位置合わせを行って下さい」と出たので、マニュアルを見て原点位置合わせを行いました。

再度再起動すると、すべてのアラームが消えました。

おわりに
バッテリーユニットを絶縁テープで巻いて、ロボットの中に戻して修理が完了しました。

正規のルートで修理を依頼していたらどれぐらいの金額がかかったかはわかりませんが、自分で直せたので、今後も色々出てきた際は自分で直してかわいがっていこうと思います。
